志望業界:メーカー、総合商社 説明会参加:30社(うち合同企業説明会4回) 先輩訪問:25人(商社) エントリーシート提出:20社 面接:10社 内定:4社(自動車メーカー1社、商社3社) 活動費用:約43万1000円(交通費30万円、スーツなど洋服代2万円、書籍代6000円、外食費10万円、筆記具など雑費5000円。先輩訪問で頻繁に東京に行っていたので、交通費がかなりかかってしまった。同時期に就活を行う友人たちと頻繁に集まっていたので、外食費もかかった)
大学の先輩から話を聞き、総合商社に魅力を感じる
大学の先輩で総合商社に内定している方が多く、話を聞くにつれ興味を持ちました。簿記の授業を受けて得意と感じ、簿記検定やビジネス会計検定を取得。先輩たちにその話をすると、「総合商社、銀行、コンサルティングは似ている部分があるけれど、その違いを明確にしておいた方がいい。特に、会計の資格を持っているなら、はっきりと理解しておくといいよ」とアドバイスされ、インターンシップを活用することにしました。
そして、銀行のインターンシップに応募。エントリーシート提出後にグループディスカッション選考がありました。グループディスカッションのテーマは「クライアントの事業をどのように拡大するか」という、商社やコンサルティングとは違う銀行の業務を知っておかないとできないものでした。面白かったのですが、銀行は資金を貸し付けるために業務アドバイスや提案を行うけれど、そのプロジェクトの最終決定者ではないことに、何となく物足りなさを感じました。
大学3年2月には、インフラと情報制作会社のインターンシップに参加。インフラは5日間で、社員のサポートとともにプロジェクトの予算編成などのグループワーク。とても保守的なイメージでした。また、情報制作会社はグループでの新規事業の立案とプレゼンテーションを行いましたが、社員の方の雰囲気が自分とは合わないように感じたんです。
大学内の業界セミナーでは総合商社を優先的にチェック。内定者も登場し、ほかの業界と比べると話す内容や対応力も素晴らしい方が多く、一緒に働きたいと思いました。自動車や素材などメーカーも何社が話を聞いたのですが、メーカーは技術開発部門こそがメインで、文系出身の僕が主導的に動けるのは少ないかも、とマイナスなイメージを持ちましたね。
さらに、7大と呼ばれる総合商社すべてに、大学の先輩がいたので、それぞれの社風や仕事内容なども詳しく教えてもらい魅力を感じていたので、総合商社への志望が強くなりました。加えて、大学のOB・OG名簿を活用し、総合商社の先輩社員を訪問。先輩社員訪問で心がけたのは、何かを聞きに行くというより、面接で応える内容の精度をあげること。なぜ、総合商社を志望するのか、なぜ、この会社なのかは必ず面接で聞かれるので、先輩社員に聞いていただき、改善点をアドバイスしてもらいました。
3月から始まった企業説明会では総合商社、専門商社をまんべんなく回りましたが、自分の中で会社ごとの違いが明確になり、総合商社2社を本命に。さらに、現在の内定先は興味のなかったメーカーの中で、唯一、魅力を感じました。経理部門が会社の中でも中心的存在で、企業説明会で「経理が会社を動かしている」というような言葉を聞き、自分の存在価値を生かせる会社だと思ったんです。
総合商社とどちらにするか悩み、先輩社員の熱意で現在の内定先に決める
総合商社2社、そして現在の内定先を第1志望に置き活動。もちろん、3社以外にも企業説明会に参加し、少しでも興味を持った企業にはエントリーシートを提出しました。そして、本命に先駆け、大学4年4月中旬から他社の面接がスタート。面接では必ずと言っていいほど、第1志望かどうかを聞かれるのですが、ごまかさず正直に第1志望ではないと答えました。第1志望と言わない学生は落とす、という考え方の企業には行きたくないし、正直に言ったうえできちんと評価してもらえれば、それが自信につながると思ったからです。その結果、大学4年5月にメーカー2社から内々定。もちろん、第1志望の選考はこれからだったので、就活は続けました。
現在の内定先は、大学3年3月ぐらいから先輩社員との面談が6回ありました。プレエントリーしている学生全員に連絡があったようですが、回数を重ねるごとに学生の数が減っていったように思います。この面談は、自己分析や志望動機などを深掘りするもので、学生時代のこと、自己PRについて質問されたり、アドバイスされるというもの。どんどん志望動機や自己PRがブラッシュアップされ、5月下旬にエントリーシートを提出しました。
6月に入り、いよいよ第1志望で面接が始まりました。総合商社の1社は辞退。もう1社は、6月1日から3日間、連続で面接。2次面接では、時事問題や「信用とはどうやって作ればいいと思うか?」という質問も。最終は、これまでの21年間の人生について説明をするように言われました。幼稚園からサッカーを始め高校まで続けてきたこと、大学ではサッカーはサークルで続け、勉強や資格取得、語学留学などに努力しチャレンジしたことを伝えました。そして、最終面接の翌日に内々定をもらいました。
現在の内定先は先輩社員との面談やエントリーシート、筆記試験などの成績で通過した人が6月3日に最終選考。面接では、自己PRと基本的にエントリーシートに沿って質問されました。ほかには、「あなたは嫌いな人とどう接する?」「組織の中で活動するうえで心がけているものは?」といった質問もありました。どんな質問に対しても、まず自分の考え方を伝え、それを裏付ける具体的な過去の経験や事例を紹介。自己分析を通してこれまでの自分を振り返っていたことで、どんな質問にも落ち着いて答えることができました。そして、その日に内々定をいただくことができました。
最終的に現在の内定先に決めたのは、内々定をもらった翌日に社員の方が会いにきてくれたのです。僕のことを仲間と感じている、という思いを熱く伝えていただきました。一緒に働きたい、ということを言われたことはありましたが、「仲間」という言葉を言われたのは初めてで、とても必要としてくれていると実感。そして、現在の内定先に決めました。
自分の就活を振り返って良かったのは、自分の足で動き、見て聞いて確かめられたこと。大学の先輩、先輩社員、企業説明会と動くことで、さまざまな情報を得ることができました。また、自己分析を繰り返すことで企業選びの際に重視するポイントを早い段階で決めることができていたので、企業に優先順位を付けることができたのも良かったと思います。何より、どこに行くにも交通費などお金がかかりますが、奨学金などでお金を貯めていたことで、迷わず行動できたことも良かったです。
低学年のときに注力していたことは?
各学部、学年ごとに成績優秀者の上位約10名が、大学から奨学金をもらえるという制度があり、それを目指して勉強を頑張りました。商学部約750人のうち、毎年3位か4位の成績をおさめることができました。
大学で勉強した簿記が得意で、それを証明したいと思い、簿記検定に挑戦。大学1年生で3級と2級、大学2年生で1級を取得。ビジネス会計検定2級も取得。すべて、1度の挑戦で合格しました。簿記検定を受講される方のために、検定取得後に簿記講座を開いたりもしました。さらに、大学の長期休暇のたびに2、3週間の海外旅行にも行きました。
就活スケジュール
メガバンクのインターンシップに参加
大学の先輩から話を聞いて、総合商社に興味を持つ。先輩から、総合商社と銀行、コンサルティングの違いを知っておいた方がいいと聞き、簿記の資格を持っていたこともあり、銀行のインターンシップに参加。
大学内での業界セミナーに参加
総合商社が登場する日は、必ず参加。内定者が登場することも多く、幅広い業務ができること、プロジェクトのスケールが大きいこと、何より内定者の方が優秀で、一緒に働きたいと思えることが多く、総合商社を本命にする。
2社のインターンシップに参加
総合商社以外の業界を知るために、インターンシップを活用。インフラは5日間で、予算編成や資産調達をグループワークで体験。情報制作会社も5日間で、グループで新規事業を立案し、プレゼンテーション。ただ、2社とも自分には合わないと判断し、志望から外す。
学内、学外の合同企業説明会に参加
メインは総合商社で、B to Bのメーカーもチェックする。それに加え、7社の総合商社で働く先輩に仕事内容などを詳しく聞き、会社ごとの特徴や社風の違いなどを把握する。さらに、大学のOB・OG名簿を活用し、総合商社の先輩社員を訪問。会いたい人がいれば、交通費がかかっても東京まで出向く。これまで自分で集めた情報を基に、総合商社2社、現在の内定先の3社を第1志望に決める。現在の内定先から、先輩社員との面談に呼ばれ、自己PRや志望動機をブラッシュアップする。
会社説明会に参加
総合商社、メーカーなどで個別の企業説明会に参加。先輩社員を訪問したり、現在の内定先では先輩社員との面談が続く。
メーカー2社から内々定
4月中旬から面接がスタート。2社とも3回面接があり、志望動機や自己PRなど基本的な質問が中心。第1志望ではないことを正直に伝えたけれど、5月に2社とも内々定をもらう。ただ、第1志望の選考がまだなので、就活を続ける。
現在の内定先と総合商社から内々定
3回の面接を経て、総合商社1社から内々定をもらう。同じ日に、現在の内定先の最終面接があり、その日に内々定。内々定の翌日に先輩社員が会いにきて、現在の内定先に決める。
就活ファッション
入学式に着用した濃紺の細身スーツと、就活用に購入した黒のスーツの2着。主に、濃紺を着用した。シャツも体にフィットする細身の白シャツで、かばんや靴は黒のベーシックなものを選んだ。
取材・文/森下裕美子 撮影/嶋並ひろみ