志望業界:マスコミ(報道関連) 説明会参加:15社(うち合同企業説明会5回) 先輩訪問:10人(新聞社3人、テレビ局2人、メーカー3人) エントリーシート提出:20社(うちOpenES1社) 面接:7社 内定:3社(新聞社1社、テレビ局1社、メーカー1社) 活動費用:約10万6000円(交通費3万円、カバン5000円、パンプス7000円、外食費3万円、証明写真1万3000円、書籍代1万5000円、封筒・郵送代など雑費6000円。書籍はその年によって改訂される筆記試験の問題集を自分で買いそろえ、それ以外は先輩から譲ってもらった。証明写真の撮影は百貨店に入っている写真館に頼んでデータをもらい、焼き増し分は個人経営の写真店にお願いして安く済ませた)
筆記試験の対策に全力を注いだ新聞社の就活対策
中学生くらいのころから、新聞を読むのが好きでした。特にインタビュー記事や読者投稿欄がお気に入りで、「いろんな人生があるんだなぁ」としみじみ感銘を受けながら読んでいましたね。そんな背景もあってか、大学に入ってからは日ごろから「自分は将来どんな仕事をしたいんだろう」と考えていたのですが、最も具体的に思い描けていたのが“新聞記者をしている自分の姿”だったんです。
就活準備を始めたのは大学3年の8月から。まずは志望する職場を自分の目で確かめたいと思い、新聞社のインターンシップに参加しました。3社参加したうちの2社は座学やグループワークなど社内での活動が中心でしたが、そのうち1社は5日間のインターンシップで、新人記者の方について回って地方取材まで同行させていただけたんです。実際に新聞社の一日の仕事がどのようなものなのか間近で体験することができ、記者の方が自分の意見や判断で取材を進めていく姿を見て、はっきりと「この仕事がやりたい!」と道を定めることができました。
新聞社を志望するにあたって最も力を入れたのは、筆記試験の対策です。難易度の高さは知っていたので、とにかく「勉強しないと…!」という意識を持って、一般教養のテキストを買って読みこんでいました。また、それと並行して「ニュース時事能力検定」と「語彙・読解力検定」のテキストも購入し、問題演習を繰り返し実施。この2つの検定は級位を持っていると、特定の新聞社の筆記試験で加点される場合があります。私はそれぞれ2級を受検して、どちらも合格することができました。知識もつけられて、なおかつ選考に具体的なプラス効果をもたらすので一石二鳥ですよ。
新聞は毎日1紙をくまなく読んで、興味のある記事は切り抜き、感想や自分の意見のメモと一緒にスクラップブックにまとめていました。毎日のニュースを把握する目的なら、無理して複数の新聞を読む必要はありません。大きな事件や個人的に気になるトピックがあったときには、そのニュースについて各紙がどう取り上げているか比較すると、より知見が深まると思います。新聞によって意見が分かれているようなニュースは要チェックですね。
作文は日々のシミュレーションの積み重ねが大事
作文と小論文の練習には、筆記試験の対策と同じくらい時間かけていました。筆記試験の日程が近くなると週1~2回の頻度でゼミの友人と集まって、制限時間を設けて作文を書き、お互いに回し読みして添削し合いました。
作文や小論文には正解がありません。だからこそ、当り障りのない一般論を述べるのではなく「自分がそのトピックについて何を考えているのか」が相手に正確に伝わるように意識していました。解決が求められているようなトピックならば、自分なりに「どうしたら解決できるのか」という意見を必ず書くように。また、なるべく「自分しかしていないだろう体験」を盛りこみ、「こういう経験をしたから、私はこのニュースについてこう思う」と主張の論拠を明確にすることも心がけていましたね。
小論文については直近の時事を押さえていれば心構えはできますが、作文の方はテーマがまったく読めません。“普段からどれだけあらゆる刺激にアンテナを張ってきたか”が試される場です。私は作文対策として、例えば“緑の服”を見たら「“緑”ってテーマなら何を書こう?」というように、日々の生活の中でシミュレーションを繰り返していました。そうすることで、本番でどんなテーマがきても落ち着いて内容を考えられるようになったと思います。
新聞社のエントリーシートは「自分が記者としていかに使えるか」を伝えることに特化しました。「サークルで頑張ったこと」などを素直に書いても、新聞社の選考では相手に刺らないと思うんです。私はエントリーシート全体に、いろいろなジャンルの時事に対しての問題意識が見えるように話題を散りばめ、「どんなテーマにでも対応できます」という姿勢をアピールするようにしていました。
筆記試験やエントリーシートは本当に苦労しましたが、面接はとても楽しかったです。面接では余計なことは考えずに、面接担当者との会話に集中。自然におしゃべりをする気持ちで、相手の質問に自信を持って答えました。「これは受かった!」というような手応えを感じたことはありませんでしたが、どの段階の面接も和気あいあいと、ときには笑いも交えながらお話しすることができましたね。内々定は複数社から頂きましたが、自分が最も思い入れの強かった新聞社の記者職に決めました。
今後の目標は「取材相手との関係を大切にできる記者になること」です。入社前までにたくさん本と新聞を読んで、さまざまな視点や意見を吸収していきたいと思います。一つずつ経験を積んで、読んだ人に何かしら考えるきっかけを与えられるような記事を、これから書けるようになりたいです。
就活は準備がすべてだと思います。私は自分にできる対策を、自分が納得できるまで突き詰めたからこそ、その後の面接に物怖じすることなく臨むことができました。不安を抱えていると、普段通りの自分は出せません。自分の中で100パーセントだと思えるくらい準備ができれば、きっと納得できる結果にたどりつけるはずです!
低学年のときに注力していたことは?
とにかく、興味を持ったことには手当たり次第参加。ボランティアやフリーペーパーなど4つのサークルに所属しながら、出版社のインターンシップに参加し、留学にも行きました。いつも「自分は何がしたいんだろう?」と考えながら、何か面白そうなことはないかなと周りをキョロキョロしていましたね。
中でも、留学はとても勉強になりました。1年間アメリカのカリフォルニアに滞在したのですが、私がいた地域には少数民族がたくさん住んでいて、その方々とお話ができたことは貴重な経験です。ほかにも、中国系アメリカ人で初めてアメリカ国内の市長になった女性や、第2次世界大戦の前後で強制収容されていた日系アメリカ人の方に話をうかがうなど、日本にいては決して経験できないことをたくさんさせてもらえました。
就活スケジュール
インターンシップに参加
3社の新聞社のインターンシップに参加。記者の方々に話を聞くことで、就活に対する意識が高まった。ここで出会った仲間とはその後も情報交換をしながらお互いを励まし合いっていて、モチベーションの維持につながった。
筆記試験対策をスタート
一般教養や時事問題の基礎を築くため、「ニュース時事能力検定」や「語彙・読解力検定」などのテキストを熟読。また、短期の就活対策塾に通って、エントリーシートと作文の指導を受けた。
説明会に参加
目指していた新聞社だけに絞らず、さまざまな業種の会社の説明を聞くように。先輩訪問もこの時期から始めた。
作文対策の本格化
週に1~2回のペースで同じ新聞社志望のゼミの友達と集まって、作文の添削をし合った。
エントリーシート提出
新聞社のエントリーシートは量が多く、すべて手書きで書いていたため、かなりの時間を有した。書いたエントリーシートはゼミの先生に見てもらって、内容をブラッシュアップした。
選考開始
筆記試験はとにかく準備を万全にして、自分の力を出しきることだけを意識。面接が終わった次の日に合否の連絡がくることが多かった。自分がやりたいことや志望動機は何か、最終面接の前日まで自己分析を繰り返した。
就活ファッション
最初は高校のときから持っていた3つボタンのスーツを着ていたが、「そのスーツは変だよ」と先輩に指摘され 、その方が譲ってくれた1つボタンのスーツに切り替えた。シャツは4着、ストッキングは5足を着回し。髪形は斜めにキレイに分けられるように前髪を伸ばし、後ろは1つに束ねた。毛先が広がるときはコテで一巻きしてまとまるように。
取材・文/西山武志 撮影/鈴木慶子