志望業界:特になし 説明会参加:20社(うち合同企業説明会3回) 先輩訪問:なし エントリーシート提出:5社 面接:1社 内定:1社 活動費用:合計5万9000円(交通費1万円、スーツ2万5000円、カバン・靴2万円、外食費1000円、書籍代1000円、筆記具2000円。大阪市内に実家があるので、説明会や面接などの交通費はあまりかからなかった)
学内の就職講座や企業説明会をフル活用し、就活を進めた
大学3年の5月から7月まで、毎月、大学のキャリアサポート室主催の就活講座が開催されていたんです。その講座に参加し、自己分析やエントリーシートの書き方、会社説明会の活用法など基本的な就活の進め方を習得。夏休みは就活にかかる費用を稼ぐため、アルバイトに励みました。
10月から、いよいよ本格的に就活準備をスタート。まず、学内の企業説明会に参加し、金融やコンサルティング会社など業界にこだわらず話を聞きました。併せて早いうちに準備しておこうと、エントリーシートを作成。内定者たちの実例本を読むと、かしこまったり自分を大げさに見せたりず、自分の言葉で思ったことを書いているパターンが多かったんです。そこで、思うままに自己PRや志望動機を書いてみました。
まだ具体的に志望業種が固まらない中、違った視点で企業を知りたいと思い、大手企業をはじめ多くの企業のトップと交流を持つ経営学の教授に、友人と話を聞きにいくことにしました。社名は知られていないけれど世界に誇れる技術を持つ精密加工会社、若手社員が活躍し社員を家族のように大切にする食品メーカー、女性の登用やメンタルケアに力を入れるインフラ企業など。教授が魅力的だと思う企業を挙げ、それぞれの理由をわかりやすく解説してもらいました。その中の食品メーカーは、合同企業説明会で話を聞いた会社。教授が認める企業なら、と興味を持ち、もっと調べてみようと思ったんです。
この教授とのやりとりから、自分が知らないだけで魅力的な企業はたくさんあると痛感。社名や規模、業界などにとらわれず、さまざまな企業を知りたいと12月は合同企業説明会に参加。金融、IT、メーカー、サービス、コンサルティング会社など幅広く回りました。さらにほぼ毎日、学内でも企業説明会が開催されていて、掲示される企業ラインナップをチェックして興味のある企業の会に参加。中でも参加する学生が少ない企業は、人事担当者がフレンドリーに接してくれるので、「仕事がイヤになったことはありますか?」など気軽に質問でき、人事の本音に触れることもできました。
それぞれの企業に魅力を感じる部分があり、ここという本命は見つからないまま就活本番に。ただ、教授から社名を聞いた食品メーカーは、学外の合同企業説明会でもブースがあり、話を聞きました。会場でエントリーシートを記入し、12月中旬の個社説明会にも出席。さらに他社でも個別の説明会がスタート。合同企業説明会だけでは企業を深く知れるわけではないし、あいまいなイメージに基づいて視野をせばめたくない。だから、学内説明会で興味を持った人材、金融、コンサルティング会社などを回りました。
食品メーカーの説明会では社長が登場し、社員を大切に思っていること、家族や友人、周りの人を大切にできる人にきてほしいことなど熱く語られていたことが、深く印象に残りました。さらに説明会のあと、学生1人ずつ立ちあがって15秒で自己PRするという時間も。一瞬、戸惑いましたが、面白いことをする企業だと興味がわきました。
ほかの選考も受けようか悩んだ末、自分に合う会社だと判断し2月で終了
食品メーカーを意識しながらも志望が定まらない中、1月初旬には食品メーカーで筆記試験とグループ面接。面接については、学内のキャリアセミナーで対策講座を受講。基本的なことですが、結論を最初に伝え、そのあとに具体的に説明をしていくこと。それを意識し、自分の言葉で、自分の思いを伝えました。
そして、2月初旬には最終面接と、あっという間に食品メーカーの選考が進んでいきました。最終は社長面接です。社長はとても早口で聡明な印象。面接では、「友人にどんな人だと言われますか?」「親や家族に対して、どんな思いを持っていますか?」「当社に入社したら、どんなことがやりたいですか?」などを聞かれました。また、「勉強や語学にたけていることは素晴らしいが、当社が必要とするのは、誰かに喜んでもらいたいという思いで努力できる人材」という話も。時間は10分ぐらいでしたが会話のキャッチボールがうまくいったので、終わった瞬間、手応えを感じました。
もし、内々定をもらえたらその時点で就活を終了するか、それともほかの会社も受けてみようか悩みました。2月下旬に電話連絡で、食品メーカーから内々定。人事担当者から3日以内に最終返事が欲しいと言われ、うれしい半面どうしたらいいのか複雑な気持ちでしたね。金融業界では大学で学んだ会計の知識や経営学も生かせるので、エントリーシートも提出していたんです。金融業界の面接が始まっていない段階で、決めてしまっていいのかと悩んだ末、現在の内々定先に決め、就活を終了しました。
現在の会社に決めたのは、大阪本社の企業で大阪勤務なので地元に残りたい自分の希望に合っていること、若手が責任ある仕事を任せてもらいつつ教育やサポート体制も充実していること、ジョブローテーションでいろいろな仕事を経験できること、何より母や祖母の評判も良かったことです。
正直なところ、早く内々定が決まって安心できた半面、やっぱりほかの会社も受けるべきだったかなと、悩むこともありました。でも、内々定先企業に運命のようなものを感じたというか、自分の希望にぴったり合うし、人事や先輩社員など会う方すべてに魅力を感じたことも大きなポイント。この会社なら、年齢に関係なく自分の力を発揮でき、やりがいある仕事ができると今から楽しみです。
低学年の時に注力したことは?
学習塾のアルバイトに、週3、4日勤務していました。大学受験をする高校生のフォローやサポートを担当。受験生ならではの悩みや不安に寄り添い、会話することで不安を軽減するよう努めました。生徒によって性格やタイプも違うので、アルバイト経験を通じてコミュニケーション能力が磨かれたと思います。
就活スケジュール
大学主催の就活講座に参加
月1回ペースで開催される学内の就活講座に参加。自己分析やエントリーシートの書き方など、就活を進める上で知っておくべき基本的なノウハウや知識を学ぶ。
エントリーシートの準備を開始
学内で、キャリアカウンセラーによる就活の進め方についての講座を受ける。10月下旬から、時間のある時にエントリーシートの作成にかかる。
経営学の教授に魅力を感じる企業をヒアリング
簿記2級の試験勉強が忙しく、就活準備を中断。合間に、企業の経営者とも親交のあるゼミの教授に、他社とは違う特徴や魅力を持つ企業を教えてもらう。
合同企業説明会、個社説明会に参加
名前を知らない企業でも魅力的な会社はあるだろうと、知名度や規模、業界にとらわれずさまざまな企業を回る。合同企業説明会で興味を持った会社について、個社説明会に参加し、さらに詳しい事業内容や求める人物像を聞く。
現在の内々定先で筆記試験とグループ面接
合同企業説明会の会場でエントリーシートを記入し提出。個社説明会にも参加。作文と基礎学力の筆記試験、さらに3対3のグループ面接を受ける。
内々定をもらい就活を終了する。
就活ファッション
洗い替えを考えて、パンツが2本ついているスーツを購入。面接は第一印象が大切で、就活ファッションもその印象に大きく左右すると思ったので、体にフィットする細身デザイン、青に小さな白ドットが入ったスーツを選びました。ネクタイは青にドット模様がはいったもの。靴は黒のプレーンなレザーシューズ。毎日、祖母が磨いてくれました。
取材・文/森下裕美子 撮影/島並ヒロミ