志望業界:金融、総合商社、インフラ 説明会参加:合計30社(合同企業説明会6回) 先輩訪問:27人(銀行1人、損害保険3人、生命保険8人、総合商社4人、インフラ8人、メーカー3人) エントリーシート提出:20社 面接:13社 内定:2社(損害保険1社、生命保険1社) 活動費用:約15万3000円(交通費8万円、スーツ2万5000円、カバン・靴1万2000円、外食費3万5000円、雑費1000円)
先輩社員のリアルな話から、金融業界への志望をいっそう強くした
大学3年の秋に合同企業説明会に参加するなど就活を始めたのですが、ラクロス部の活動が忙しく、このまま就活を進めてもすべてが中途半端になるのでは、と就活を1年先に延ばすことにしたんです。就活は人生にとって大事なことなのですが、大学生活の中で部活動も大切。就活を1年ずらすことで、後悔することなく両方の活動を精いっぱいできると思いました。
大学4年になり、就活準備を始めるにあたってまず考えたのが、営業職の強い業界に行きたいということ。メーカーは営業よりも開発や製造が中心、それに比べ金融業界は営業努力によってサービスや商品の販売力が決まるため、営業職への比重が大きく活躍できると思い、漠然と金融に興味を持ちました。父が金融業界に勤務していることも、多少は影響したかもしれません。父は誠実で真面目、そして仕事関係の方だけでなく知人に対しても礼儀ある態度で接するなど、とてもかっこいいと思っていましたから。
大学4年の11月2日に部活動を引退。数週間後に外資系投資銀行でエントリーシート提出があったので、何を書くか考えました。外資系を志望する理由については、所属していたラクロス部はリーグ優勝も狙えるトップレベルのチームだったため、社会に出てからもレベルの高い環境に身を置きたいと考えたこと。また、投資銀行は数字という明確な結果が出るので、確かな目標がある方がモチベーションを高く持つことができること。さらに、金融における営業職はコミュニケーション力が大切で、部活動などを通じたくさんの人と信頼関係を築くことができることをエントリーシートでアピールしようと考えました。
そして、無事にエントリーシートは通過し、12月の先輩社員との面談に呼ばれました。社員1人に対し学生3人で20分、志望動機や自己PRなど質疑応答。それを社員8人と行うというもの。中には、「1本のペンを全員に買いたいと思わせるセールストークを行ってください」「最近あった面白い話をしてください」というような、変化球の質問もありました。この時点で不合格になりましたが、自己分析や自己PR、面接での場慣れなどその後につながる経験ができたと思います。
12月は、合同企業説明会にも参加。銀行、証券、保険など金融を中心に、総合商社やインフラなども数社回りました。さらに銀行、証券会社、損害保険会社などでは個別の会社説明会にも参加。説明会で特にチェックしたのが社員の雰囲気。直感で自分が感じたこと、社員の方の表情がイキイキして楽しそうかなど。さらに、詳しい話を聞きたいと思った現在の内定先や大手銀行では、会社説明会後に人事の方に直接、質問に行ったりもしました。
1月も引き続き、金融を中心に会社説明会に参加。さらに、先輩社員訪問も開始。まず、友人の父が銀行の支店長をしていて、友人を介してお願いし時間を取っていただきました。銀行員に求められるのは誠実さや人間性が大切だということ、留年したことについて納得できる理由を説明する必要があることなど、たくさんの情報やアドバイスを頂きました。中でも、金融業界で働く人に求められる資質について聞けたことで、自分の長所と一致する部分が多く、やはり金融を志望に置いて間違いないと実感したんです。
さらに、知人が現在の内定先に入社していることを知り、その方から大学の先輩を紹介してもらいました。現在の内定先は会社説明会での情報や社員の雰囲気を見て、志望度が高くなっていたので、先輩訪問で具体的な情報を詳しく聞きたいと思ったんです。紹介していただいた方は入社2年目で、担当する仕事の中身や1日のスケジュールを聞いたり、なぜ現在の会社を選んだのか、インターンシップ経験者が有利なのかなどを質問。その方から「就活は準備が大事。特にエントリーシートについては、面接で深く質問されるので、客観的に見直して自問自答を繰り返して面接対策をしておくこと」とアドバイスも頂きました。
内定先企業については、大学のキャリアセンターで先輩社員を紹介してもらい、さらに2月に1名、3月には女性社員の方1名にもお会いしました。女性という違った視点で会社をどう見ているか聞きたいと思ったからです。実際に話を聞いてみると男女差はまったくなく、女性でも充実感を得られる仕事を任せてもらえると知り、いっそう会社のイメージが良くなりました。
そして1月の時点で金融、中でも現在の内定先である損害保険会社と大手銀行を第1志望に決めました。損害保険会社はもしものときの支えという業務形態が魅力、大手銀行は世の中に対する影響力にひかれました。そして、両社とも業界のリーディングカンパニーとして社会に対しての使命感や義務感を持ち、先輩社員が誠実で責任感を持って仕事をしている方ばかりだということも魅力でしたね。
会社説明会での情報や企業ホームページを基に、応募する企業を絞った
それからは金融をメインに説明会を回りましたが、その合間に、自己分析を行いました。11月にエントリーシートを作成したのですが、自己PRの内容をさらに深めたいと思ったからです。自分のこれまでを振り返り印象深かったことは、小・中学校のころは勉強を真面目にやってきたこと。高校時代の野球部では、同級生が15人いたけれど次々と辞めていき、最後の2人になってもやり遂げようと辞めなかったこと。大学のラクロス部では副部長やポジションリーダーを任させてもらうなど、周囲から信頼されていたことなど。さらに、友人に自分の印象や長所をヒアリング。真面目、最後までやり続ける意思、責任感の強さ、信頼感というキーワードが見つかり、それらを自己PRの中に入れ文章にしました。
2月下旬には、エントリーシートの提出がピーク。それまでに、応募する会社を決めようと、会社説明会での情報、企業ホームページや採用ページでの理念やメッセージを熟読。そして、金融業界を中心に事業内容や企業自体に興味を持った総合商社、インフラなど数社を含め20社に絞りました。ほかの就活生に比べると提出社数は少ないかもしれませんが、大手やリーディングカンパニーだけに応募しようと思っていたので、むやみに数だけを増やすことはしませんでしたね。
自己分析を経て書き上げたエンリーシートは、文章を書くことが得意な友人に、言葉遣いや文意、文章の流れなどをチェックしてもらいました。あとは、自分で読み返し、アピールポイントがわかりやすく伝わるかを基準に表現の精度をアップ。結果、ほとんどの企業で選考へと進めました。
現在の内定先は、2月初旬にエントリーシートを提出。その後、人事担当と1対1の面談がありました。2月下旬には、2日間のインターンシップに参加。実際に営業支店でオフィスの雰囲気や社員の方の働く姿を見ることができ、さらに社員の方に同行し営業現場を見ることもできました。生の仕事現場を体験し、社員の方は真面目で仕事への意欲が高く、こんな方たちと一緒に働きたいと思えたんです。そこで、現在の内定先を本命に決めました。
面接選考が本格化する前に、エントリーシートを提出した20社について、1社ずつ、志望動機を聞かれたらどう答えるかをシミュレーション。会社説明会や先輩社員との面談から帰る電車の中で、企業ごとにまとめたノートの情報を見ながら頭の中で答え方をイメージ。さらに、その日に聞かれたことや反省点なども忘れないうちにメモ。手で書くことで頭に記憶しやすく、整理もしやすかったですね。
3月に行われた内定先のインターンシップ参加者限定セミナーでは、若手社員から役員クラスまで、営業だけでなく国際部門の方などさまざまな社員の話を聞くことができました。ある管理職の方から、部下を育てるためには仕事を任せ、若いうちから責任ある仕事をさせて経験を積ませるとお聞きし、こういう方の下で働きたい、こういう上司になりたいと実感。ほかの社員の方のお話にも違和感はまったくなく、この会社に入りたいと思いを強くしました。
3月下旬に、生命保険会社から内々定。ここで決めてしまえば気持ちも楽になれるし、この先、内々定をもらえるかどうかわらかないと一瞬、迷いました。でも、現在の内定先をはじめ第1志望の選考が残っていたのでお断りすることに。とりあえず内々定をもらって後から断って迷惑をかけるのも嫌でしたから。
大学4年の4月は、金融、商社など面接の予定がぎっしりに。現在の内定先は1日、2日と連続して面接。2日の面接の後に入社意思を確認され「入社したいです」と答えましたが、「ほかの企業の選考もあるでしょうし、1、2日、時間を置いて考えてみてください」と言わたんです。拍子抜けしたというか、落ちたかもしれないと不安になりました。
4日に再度、訪問し、入社意思を確認され「本命企業です」と意思は変わらないことを伝え、内々定を頂きました。ほかにも選考は残っていましたが、すべて断り、就活を終了。
就活を振り返ってみて、自己分析を深くやったことで自分がどういう人間か、どういう仕事がしたいかを明確にできたことが良かったと思います。長所も短所もはっきりわかっていたので、どの会社でも自信を持って答えることができ、自己PRにつながったと思います。逆に反省点としては、財務諸表や会社の動きをチェックしていなかったこと。会社の経営状態や事業展開なども知っておくべきだと思います。また、新聞を読んでいなかったので、時事問題を聞かれた時は直前にリサーチしたこと以外は答えられない、とドキドキ。就活は準備が大事、と先輩訪問で言われたことは、まさにその通り。準備を徹底して行うことで、自信を持って受け答えできますし、行きたい会社かどうかの見極めもしやすくなると思います。
低学年のときに注力していたことは?
小学校から高校まで野球を続けていましたが、大学ではラクロス部に入部。大学では違うスポーツをやってみたかったこと、全国2位になったこともある強豪チームで日本一の目標を掲げていること、そして勧誘してくれた先輩の誠意ある態度にひかれ、ラクロス部を選びました。週5日、朝7時から練習というハードな毎日でしたが、充実した学生生活を過ごせていると思います。大学2年からは飲食店の接客のアルバイトを始めました。部活動が優先なので週に1、2回しか行けないのですが、今でも続けています。
就活スケジュール
合同企業説明会に参加
就活を何から始めればいいかわからず、いろいろな企業を見ようと、まず合同企業説明会に参加。ただ、このまま就活を始めることで部活の練習を休んだり、卒業に向けて単位取得に必死になることを考え、今は部活動を最優先させたいと就活を1年後に延期することにした。
外資系投資銀行にエントリー
営業がやりたいと志望し、その中で営業職の果たす役割が大きく、また、父が金融勤務だったこともあり、金融業界に興味を持つ。外資系投資銀行でエントリーシートの提出があり、金融への志望動機を固め、エントリーシートを作成する。
合同企業説明会、個別の会社説明会に参加
外資系投資銀行で、社員との面談があったが、結果は不合格。学外の合同企業説明会に参加し、金融を中心に商社やインフラをチェックする。個別の会社説明会では、説明会に登場される社員の雰囲気を重点的にチェック。
会社説明会に参加しながら先輩社員訪問を開始
金融、商社を中心に広告会社、インフラの個別の会社説明会に出席。金融業界についての知識を深めるため、金融業界に勤務する社員の方に話を聞こうと、友人の父で銀行勤務の方を訪問。さらに、知人が現在の内定先企業に勤務していることもあり、その知人から2年目の社員を紹介してもらい訪問。金融の中でも損害保険、銀行への興味が強くなり、第1志望にする。
エントリーシートの作成にかかる
20日ごろまでは会社説明会に参加。会社説明会で得た情報や企業ホームページなど総合的に判断し、さらに社会への影響力が大きい大手企業やリーディングカンパニーだけに絞ろうと決め、志望意欲を強めた20社だけに応募することを決意。現在の内定先企業は2月に2日間のインターンシップがあり参加。営業現場や会社の雰囲気を実際に見ることができ、本命企業にしようと決めた。さらに、大学のキャリアセンターから紹介してもらい、先輩社員訪問も行う。
先輩社員との面談がピーク
生命保険、インフラで先輩社員との面談が始まる。その後、損害保険などでも面談があった。エントリーシートを提出した20社すべてについて、志望動機や自己PRを聞かれたらどう答えるかを考えるなど準備。内定先企業については、大学のキャリアセンターから紹介された女性の先輩社員を訪問したり、インターンシップ参加者限定のセミナーにも出席。3月下旬に生命保険から内々定をもらったが、現在の内定先企業の選考が残っていたので辞退する。
本命企業から内々定をもらい、就活を終了
1日から一斉に面接がスタート。1日3~4社の面接を受ける。内定先企業は2日連続で面接。再度呼ばれ入社意思を確認されたが、即答で入社したい意向を伝える。その日に内々定をもらい、ほかの選考を辞退し就活を終える。
就活ファッション
スーツは黒のベーシックなタイプで、洗い替え用にパンツを2本用意。白のワイシャツはプレーンなものを合わせた。ネクタイは自分で買ったものに加え、父から就活でも使えそうなものをもらい、赤、青、黒を用意。企業のイメージカラーなどに合わせ、ネクタイをチョイスしたが、基本は赤のストライプを使用。靴は成人式用に買ったもの。カバンは、A4ファイルが入る自立タイプのレザーバッグを購入した。
取材・文/森下裕美子 撮影/島並ヒロミ