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ヒューリック株式会社

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すずき・としゆき●2010年入社。シニアビジネス開発部 主任。芝浦工業大学大学院建設工学専攻修了。大学にて建築を学んだのち、大学院で都市の研究を行い、都市づくりに興味を持つ。就職活動では、社員一人ひとりを大切にしてくれて、都市開発に携われる会社を中心に探す。当時、物件購入・開発などの新規事業を展開し始めていた同社に大きな可能性を感じる。OB訪問の際、先輩たちが不動産の開発案件についてイキイキと語る様子に「面白くて勢いのある会社だ」と感じ、入社を決意。

入社1年目に北海道の所有施設を再開発するプロジェクトを担当。コンセプト作りから提案書作成まで任される

ヒューリック株式会社は、不動産賃貸事業を中核に、都心にあるビルの建て替え、不動産購入・開発、公的資産の活用・運用などを手がける不動産ディベロッパーだ。
不動産ディベロッパーの中でも、事業内容や規模の拡大などを含め、成長過程で勢いのあるヒューリックの魅力にひかれて入社した鈴木さん。

 

入社後、さまざまな部署の現場を経験できる2カ月間のジョブローテーション研修を受けた後、アセットソリューション部に配属。
「収益が見込める不動産の取得やビルの建て替えによる開発を行い、オフィスと商業施設の入った複合施設を計画したり、地方自治体とパートナーを組んで老朽化した建物を再開発をするなど、新しく何かを創造している部署でした。正直、最初は何をやる部署なのかもわからなかったので、不安もありましたが、『やってみればわかるはずだ』と思い、全力でやろうと決意しました」

 

鈴木さんは配属直後から、地方自治体とパートナーを組むPPP事業(官民共同事業)のプロジェクトへ参画することになる。
「北海道東京事務所(※1)が老朽化に伴う建て替えをするため、施設の有効活用の提案をするというもので、われわれから提案をしてコンペ(※2)を開催してもらえるよう説得するところから始まりました。まずはメンター役の先輩と一緒に開発内容について話し合うゼネコン(建設業者)や設計会社との打ち合わせに参加して、議事録の作成を担当するところからスタート。横文字の不動産用語がバンバン飛び交う中、訳もわからないまま、ひたすらメモを取り続けました。自分で用語について調べたり、先輩に聞いたりしながら理解していく中で、不動産の知識を身につけることができたと感じます」
(※1)首都圏において北海道への理解を深めてもらうための行政施設
(※2)コンペティションの略。複数の設計者に設計案を出させ、優れたものを選ぶこと

 

入社2年目には、それまで個別に打ち合わせをしていたゼネコンや設計会社、不動産会社、テナント、地場の企業など、4~5社が集まる定例会議が開催されることに。鈴木さんは、全体のスケジュールの調整・作成や会議の司会進行、さらに、会議で決まった内容を提案書に落とし込む役割も任されることに。
「各社が集まれる日取りを何度も調整する必要があり、調整のための連絡やスケジュールの再作成で丸1日つぶれることもありました。この時、学生時代のように行き当たりばったりではダメだと痛感。目の前の会議のことだけでなく、全体像をきちんと把握し、ゴールから逆算していつまでに何をやらねばならないかを考えなくてはならないなと。各社にやってもらわなければならないことはもちろん、チーム全体の方針としてやるべきことも見込んで、2手も3手も先を読んで全体を取りまとめることが大切だと気づいたんです。おかげで視野が広がり、全体を見渡せるようになりました。また、会議ではいろんな会社のさまざまな視点の意見が出ていたため、すごく面白かったです。時には6時間に及ぶほど白熱することもありましたが、互いに刺激を与え合う中で新たなアイデアが生まれ、1+1が3にも4にもなっていく。私も大きな刺激を受け、次々にアイデアがひらめきましたね」

 

目指したテーマは「北海道の価値そのものを向上させる建物」。鈴木さんは、建築計画や事業コンセプトについて議論した内容を提案書にまとめるだけでなく、コンセプトメイキング(※3)も担当。「食」という観点から北海道ブランドを発信する拠点とし、また、東京進出を目指す北海道企業のためにシェアオフィスを入れる案も盛り込み、「北海道のブランド価値を高めながら地元企業の成長にも貢献する施設」を提案することに。地元で人気のレストランを誘致して地場の木材を使った内装にするアイデアなども自ら考えたという。
(※3)顧客へヒアリングを行って課題や求められていることを整理し、具体的な方向性を提示すること

 

「先方を説得するためのプレゼンテーションは先輩が担当し、私は提案書作成を担当していました。ある時、先輩から、『提案書が物足りない気がする。もっと主体的に取り組んでほしい』と言われ、その直後、先輩が長期の夏休みに入ることに。通常であれば、副担当だった自分がプレゼンを担当するはずだったのですが、先輩がプレゼンを他社の人に任せたと聞き、大きなショックを受けました。メインの事業者はうちの会社なのに、私ではなく、あえて他社の人を選んだ。それは、私自身が先輩から信頼されていないということなのだと。自分は必死でやってきたつもりでしたが、どこかで『先輩がフォローしてくれるはず』という甘えがあったのだと思いました」

 

ガックリ落ち込んだ鈴木さんだが、先輩の不在期間に「自分がやるしかない状況」に追い込まれ、稟議(りんぎ)(※4)の申請や契約書の作成なども自分の判断でどんどん進めざるを得ない状況に。
「不安もあったけどがむしゃらにやっていく中で、『人に頼らず、自分の判断で物事を進めるのは、こんなに面白いのか!』と、今までにない充実感を味わいました。1日が終わるのが本当に早かったですね(笑)。ゴールとなるコンペに向かってひたすら突き進んでいきました」

(※4)会社・官庁などで、会議を開催する手数を省くため、担当者が書類を作成して関係者に回し、承認を求めること

 

提案書を提出する1次審査のコンペでは、大手のハウスメーカーや不動産会社など5社と競ったが、2位通過という結果に。
「このままでは負けてしまう…2位では意味がない。そこで、北海道庁でプレゼンを行う最終審査に賭けることに。時間制限のある中、いかに要点をコンパクトにまとめ、いかにインパクトを与えられるかを目指し、CGを使ったビジュアルイメージの動画を作成するなど、みんなでアイデアを絞り出しました。そして迎えたコンペ当日。プレゼン終了後、興味津々で質問する先方の反応に『勝った!』という手応えを実感しました。もちろん結果は逆転勝利! すごくうれしくて、心の中でガッツポーズをしている自分がいましたね」

 

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現在担当する案件の社長に向けたプロジェクトの説明や、専務に対する進捗の報告会議で使用する資料を作成。また、シニアビジネスの専門誌や銀行系シンクタンクの関連レポートなどを読んで情報収集を行う。

 

入社3年目、総合企画部で会社のブランディングを担当。現在、シニア向け新規事業に取り組む

入社3年目、鈴木さんは総合企画部に異動し、会社全体の経営企画・組織運営にかかわる幅広い仕事を手がけることに。
「グループ会社の経営管理やリスク管理全般、会社の格付け(※5)、M&A(※6)、中期経営計画の策定などに携わりました。また、会社のブランディングも担当。組織改編で保険部門が切り離され、不動産関連事業に特化し、事業領域の拡大、会社の知名度向上、差別化のため新たなブランドイメージを築くことになったのです。『そもそもブランドとは何なのか』を学ぶことから始まり、うちの会社がどんな強みを持っていて、何を打ち出していくべきなのかを広告会社と話し合いながら進めていきました」
(※5)格付機関が、企業の業績や財務内容などを分析して取引の安全度を順位付けすること
(※6)企業の合併や買収。新規事業への参入や企業グループの再編、事業統合、経営不振企業の救済などを目的として実施される

 

企業イメージのPR方法、媒体デザイン、スローガンの作成などを任されることになり、鈴木さんは経営陣に対して考え方のヒアリングをしたり、若手社員を集める機会を自ら作り、「どんなスローガンがいいと思うか」「どんな広告を出せばいいか」といった意見を集めていく。
「社長や専務から『10年先も使用し続けられるものにしてほしい』との要望があり、長期的なビジョンも含めて考えていくことに。競合他社との差別化や社内の教育方針なども含めて考えた上で、どうやったら会社の認知度を向上させ、会社の事業イメージや目指す将来の姿まで伝わるようなものになるのかを模索していきました」

 

社長、専務に向けての説明を何度も繰り返し、意見をもらっては反映させていったという。そして、「駅と未来に近いビル」というスローガンがついに完成する。
「会社のビジョンを総合的に表すことを目指し、駅に近い不動産を持っている特徴を伝えるとともに、新しいものを創造していく未来志向の姿勢を表現し他社と差別化しようと考えました。会社自体の今後の進むべき道を表現できるよう、常に全体と将来を考え、やり抜くことができたと感じます。それまではプロジェクト単体の仕事のみでしたが、会社全体のことを考えたこの経験のおかげで自分の視野がさらに広がりましたね」

 

また、会社の格付けプロジェクトの資料作成を手がけた際には、財務部門や不動産部門から提出される資料を取りまとめることに苦労したという。
「不動産の知識については前部署で学んでいましたが、財務の知識はほとんどなく、まず全体像を把握することが大変でした。組織におけるキャッシュフローは非常に複雑で、お金の流れや資金戦略、資金調達など、8割方が未知の世界。ひたすら学ぶ日々でしたね。格付けにかかわる作業も初めてだったので、上司の示す大まかな方向性に従い、どうすれば格上げしてもらえるかというストーリーを考えていくことに。企業の合併や買収を積極的に行っていたため、マクロな視点で成長中であり、裏づけもあることを伝える資料を目指しました」

 

鈴木さんはこの資料作成作業を2年連続で手がけたが、格上げされるには至らず、現状維持のままという結果に。その後、格上げされたが、鈴木さんの担当時代にはかなわなかった。
「私が担当している間に格上げされなかったのは残念ですが、会社の事業内容全般を把握できたという意味ではすごくいい経験でしたね。総合企画部は、経営者の視点で物事を判断する部署なので、会社全体を俯瞰(ふかん)し、長期的な視点でものを考えられるように成長できたと感じます」

 

2013年12月、鈴木さんは現部署であるシニアビジネス開発部に異動する。シニア全般にかかわる新規事業を手がけ、老人ホームや病院など特殊な不動産に携わる部署だ。
「新設されたばかりの、『新しいチャレンジを生み出していく部署』のため、新しい発想を生かしていくやりがいを感じています。現在、老人ホームや病院などヘルスケア分野の施設や納骨堂施設などを手がけています。例えば、病院に貸し出す施設を作り、賃貸事業化していくなど、前例のないファイナンスの方法や事業構造を発想すること自体が面白いですね」

 

シニアビジネスは成長分野であり、国内での需要も高まっていて、無数の可能性を秘めているのだと目を輝かせる鈴木さん。
「そもそも僕がこの会社に入社する大きな動機となったのは、『新しいこと、創造的なことができる不動産会社』ということが理由でしたから、新たな分野にチャレンジできることがすごく面白い! 今後はいろんな部署を経験し、さまざまな観点から事業判断ができるようになりたいですね。将来的には一つの分野に特化・集中したプロフェッショナルへと成長し、社内で1、2を争う実力を持てるようになることが目標。そのためにも、一つひとつの仕事を突き詰めていこうと思います」

 

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現在のプロジェクトにおいてチームを組んでいる開発事業部担当者と打ち合わせ。案件について、お互いの進捗確認を行う。

 

鈴木さんのキャリアステップ

STEP1 2010年   研修時代(入社1年目)

入社後、社会人としてのビジネスマナーについて学ぶ3日間の研修を受けた後、2カ月弱のジョブローテーション研修を受けた。2週間ごとに異なる部署に配属され、各部署の仕事内容を学んだり、顔合わせをして人脈ネットワークを作ったという。鈴木さんは、自社物件の管理を手がけるプロパティマネジメント部門、オフィスビルにテナントを招く業務を手がけるテナントリーシング部門、現場の工事を推進する開発推進部門など、不動産業に関連する部署を中心に回った。「先輩社員についてさまざまな現場にも同行したことで、職場の張りつめた緊張感を体感することができました。特に、設計会社やゼネコンなど、数社が集まる定例会議で、事業に対してそれぞれが真剣に取り組んでいる様子を目の当たりにし、『これがプロフェッショナルということなんだ』と実感。それまでは学生気分が残っていましたが、この2カ月間の経験で気持ちが引き締まりました」。また、業務に就いた後も、入社3年目までの間にさまざまな研修を受ける体制が。論理的思考を学ぶロジカルシンキング研修や、グループワークでプロジェクトに取り組んでビジネスの流れを学ぶ研修などで、仕事に必要な基礎力を身につけた。

STEP2 2010年  アセットソリューション部時代(入社1~2年目)

配属直後から北海道のPPP事業(官民共同事業)プロジェクトを担当。協力会社との定例会議における議事録作成を任され、並行して事業の収支をもとにしたキャッシュフローの作成方法も学んだ。上司の指導のもと、事業全体の構造を把握したり、勘定項目を見ながら収益の出る構造を勉強していったという。「いろんな収益のパターンを学ぶことができましたし、社長や専務などの経営陣に向けた事業収支の説明も経験。また、2年間かかわった北海道のプロジェクトでは、立場の違うさまざまな協力会社と連携して一つの目標に向かう面白さを味わうことができました。コンペに勝った後は、開発業務を担当するほかの部署にプロジェクトを引き継ぐことになったため、ちょっとさびしくも思いましたね。私としては、達成感よりも、もっともっといろんなことができたんじゃないかという気持ちがありました。プレゼンも自分でやってみたかったですね。この後、異動までの間にいくつかの不動産開発案件やPPP案件に携わり、提案書作成まで手がけた案件もありましたが、自治体側のトップが交代したことで案件そのものが立ち消えになるなど、悔しい思いも味わいました」。

STEP3 2012年  総合企画部時代(入社3年目)

会社全体の経営企画・組織運営に携わる。ブランディングを任された際には、社長や専務への説明を何度もいったが、新人時代と変わらぬ緊張感を味わったという。「20分にわたる長い説明をした時には、緊張し過ぎて声が震えてましたね(笑)。うちの会社では、入社1~2年目から社長や専務への説明を任されるのが普通なんです。入社1年目のころは、説明のポイントや伝え方について何度もイメージトレーニングをしてから臨んでいましたが、ほかの業務をしていても説明がうまくできるかどうかが気がかりでしょうがなかった。初めて説明をした時の雰囲気や匂いは今でも覚えていますし、今でも経営層に説明する時にはそれを思い出してしまい、やっぱり緊張してしまいますね(笑)」。

STEP4 2013年  シニアビジネス開発部時代(入社4年目)

2013年に新設されたばかりの部署で、シニアビジネスにおける新規事業を生み出す業務に携わる。「現在、病院に施設を貸し出すビジネスの事業化に取り組んでいる最中です。病院向けの不動産としての賃貸事業は、不動産業界ではあまりなく、新しいことにチャレンジする面白さを体感しています。不動産会社であっても、ただ物件を取得するのではなく、そこから新たなビジネスを展開していけるところにすごく大きなやりがいを感じます。また、任せてくれる裁量権の大きさは、この会社ならではだと思いますね。入社1年目から数十億円、数百億円という大きな不動産の仕事を任せてもらえますし、年次に関係なく、自分が望めばチャンスをもらえる。さまざまな経験をさせてもらえたおかげで、入社5年目の現在までに大きく成長できたと実感しています」。

 

ある日のスケジュール

8:30 出社。1日のToDo事項の確認後、メールチェックと返信を行う。
9:00 ゼネコン、設計会社と納骨堂の案件について打ち合わせ。
11:00 打ち合わせの内容を事業概要のフォーマットに落とし込んでまとめる。
11:45 ほかの部署のメンバーと一緒に社内のカフェテリアでランチタイム。カフェテリアのお弁当は無料。
13:00 外出。老人ホームの運営者を訪問し、出店エリアや事業の方向性について情報交換。
15:00 帰社。地方銀行のヘルスケア担当者と病院施設の融資案件について情報交換。
16:00 社長や専務に向けた報告会議で使用する事業説明資料を作成。
17:00 シニアビジネスの専門書や雑誌などを読んで勉強し、知識やノウハウを蓄積。シニアビジネスのトレンドについての情報収集も行う。
20:00 退社。同期の仲間と趣味の食べ歩きへ。

プライベート

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学生時代から海外旅行が好きで、毎年、2カ国以上を旅している。これまでにイタリア、ドイツ、トルコ、ベネズエラ、香港などを旅している。写真は2013年秋に出かけたベネズエラ旅行のもの。「世界の建造物を見たり、自然の美しい風景を見ることを楽しんでいます」。

 

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現在、自分の趣味を探している最中のため、休日にはいろんなことにチャレンジ。写真は2013年に隅田川でカヌー体験した時のもの。「ダイビングや山登りなどにもチャレンジしました。趣味の幅を広げるために、いろんな体験を楽しんでいるところです」。

 

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先輩や同期と仲が良く、飲み会や食べ歩きを楽しんでいる。写真は新卒入社の同期との飲み会風景。「年に一度、同期会を開催しています。また、広い家に住んでいる先輩がいるので、みんなでそこを訪ねて、ホームパーティーのように飲み会をすることも多いですね」。

 

取材・文/上野真理子 撮影/刑部友康

 

 


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