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コンサルティング会社内定 東京大学大学院 西尾 周さん

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就活データ
志望業界:コンサルティング会社、投資銀行 説明会参加:8社(うち合同企業説明会1回) 先輩訪問:0人 エントリーシート提出:9社 面接:9社 内定:1社 活動費用:約1万2000円(交通費1万円、証明写真代2000円。スーツは予備校チューターのアルバイトで使用していたものを流用し、カバンは普段から使っているものをそのまま就活でも使用したため、費用を抑えることができた)

 志望していた2つの業界から、どちらも内々定が。最後の決め手は人の雰囲気だった

6年制薬学部の学生は薬剤師になる人がほとんどですが、僕が入学したのは4年制の薬学部。多くの学生は大学院まで進学し、大学もしくは医薬品メーカーをはじめとする企業での研究者になっています。僕も大学に入った時からなんとなく研究者になるんだろうと思っていましたが、4年生、大学院1年と研究を進めていくに従って「本当にこのまま研究者になっていいのだろうか?」という疑問を持つようになりました。学校に行って実験をして帰るという同じ毎日の繰り返し。研究内容についてはもちろん詳しくなっていきましたが、人として成長している実感を持つことはできませんでした。それに、自分の研究成果が実用化されるまでには一体どれくらいの年数がかかるのだろうか…。そもそも、どれくらいの確率で実用化されるのだろうか…。今自分がやっていることが本当に世の中の役に立つのか疑問に思えてきましたし、見えないものに向かって努力するのは自分には合わないと思うようになりました。

 

そして民間企業の就活を行うことを決意し、大学院1年の6月にインターンシップの情報収集をスタート。友人に誘われて、外資系企業だけの合同企業説明会にも行きました。特に「外資系企業で働きたい」と思っていたわけではありません。ただ、外資系企業の方が採用活動の時期が早いことは知っていましたので、できるだけ早く自分の将来を決めたくて外資系企業に注目していたのです。

 

研究職を目指すことを辞めた理由の裏返しで、企業選びの軸は「自分が成長できる」、そして「世の中に大きな影響を与えることができる」の2つでした。これらの条件に該当するのはコンサルティング会社と投資銀行だと思い、この2つの業界で6社のインターンシップに参加。ほとんどのインターンシップは3~5日間程度。コンサルティング会社では「この企業の利益を上げるには?」、投資銀行では「この企業にはどのような買収提案をするか?」といったテーマが与えられ、グループで考えて最後に発表するという内容でした。

 

そして、グループワークの前には、その業界のことを知るための講義を受講。理系の研究はしてきたものの経済のことはよく知らなかった僕にとっては、とてもありがたい内容でした。半日くらいの講座が多かったのですが、ある投資銀行は「株とは何か?」「債権とは何か?」といった基本的な知識から「投資銀行は何をしているか?」といった業界の構造までわかりやすく教えてくれて、その講座に参加しただけで金融のことを会話できるくらいになれたほどです。

 

そんな中、実は1社だけ研究職のインターンシップに参加しました。大学の研究と企業の研究が違うのは知っていましたので、もしかしたら企業の研究は面白いと思えるんじゃないかと思って…。結果的には、企業の方が実用化に近い研究をしているものの、やはり日々やることは同じだということがわかりました。ほんの少しだけ研究職になる可能性を残していたのですが、このインターンシップに参加したことでその可能性はなくなってスッキリ。コンサルティング会社と投資銀行の就活に集中できるようになりました。そして11月からは投資銀行の説明会参加とプレエントリー、12月には面接が開始。投資銀行は大きいところはほとんど受けていましたが、インターンシップで金融の基礎講座を実施してくれた投資銀行の選考が進んだ時点で、ほかの投資銀行は辞退。やはり丁寧に教えてくれたことで、その銀行に対する志望度が高くなっていたからです。

 

一方で、コンサルティング会社は10月にもう1社インターンシップに参加し、その後、選考を受けて内々定を頂くことができました。12月時点でコンサルティング会社と投資銀行でそれぞれ1社ずつの選択肢を持っている状態になったわけです。そして、そこから僕の葛藤が始まりました。どちらも本当に行きたいと思っていたので簡単には選べません。そこでまず表を作り、2社を比較するための項目を書き出しました。そしてそれぞれに点数をつけていき、集計したんです。

 

しかし最初から表がきれいに埋まるわけではありません。コンサルティング会社から内々定を頂いてからの1カ月間は両企業の社員と何度も面談していましたので、そこで表に足りていない情報を聞き出して埋めていきました。そして表が完成。ところが、いざ点数を数えてみても、どちらもほぼ同じで、結局この方法では決めきれませんでした。企業には待っていただいている状況で、自分はまだ選べない…。どちらも激務なことはわかっているので、面白くない方を選んでしまったら相当後悔するだろう…。毎日、本当に苦しかったです。

 

結局、最後の決め手は社員の雰囲気でした。投資銀行はガツガツしていて体育会系と言いますか、パワーで押し切って仕事をしているイメージがあった一方で、コンサルティング会社の方はおだやかな人が多いと感じました。理系で研究をしてきた自分には、後者の方が向いていると思ったんです。

 

 論理重視の志望動機と気持ち重視の企業選択で、後悔なく就活を終えられた

大学院1年の夏のインターンシップでは、15社くらい選考を受けて5社しか受かりませんでした。そして、11月の投資銀行の本選考を受ける時に当時を振り返ってみたところ、論理立てて考えるということができておらず、面接で「なぜ?」と聞かれても曖昧なことしか答えられていなかったことに気がつきました。

 

そこからは、論理を組み立てることをかなり意識して面接の準備をしましたね。大事にしていたのは、自分のやりたいことよりも、相手の業界や企業のことをきちんと理解し、それに合わせた志望動機を作るということ。コンサルティング会社も投資銀行も、「なぜこの会社なの?」「この業界で働く上で必要なことって何だと思う?」「自分が入ったらどこにどのような提案をしてみたいですか?」など、本当にその業界、会社、仕事内容を理解していないと答えられないような質問ばかりされていたからです。

 

このような質問に答えるためには、ホームページで調べて表面的な理解をしているだけでは不十分。そこで、懇親会や面接の最後に質問をして、実際にそこで働いている人からしか得られない情報を聞き出すようにしていました。そして、その情報を基に、「御社はこういうことをしていますよね。ですから私は御社に入ってこういう領域の、こういう仕事をしたいんです」といった論理で志望動機を組み立てていく。もちろん「自分が成長したい」「世の中に影響力のある仕事がしたい」という自分の希望はありましたが、あくまでも相手の企業のことを分析した上で、それに合わせて自分の希望をつなげていったのです。

 

でも、そうやって相手の企業の仕事を第一に考えて志望動機を組み立てていったがゆえに、最後の最後で内々定を頂いた2社のどちらも「入りたい」と思える強固な論理ができあがっており、選べなくなってしまったのだと思います。自分の希望から出発した志望動機ではなかったので…。でも、最後は自分の気持ちと向き合ったところ、「そこで働く人の雰囲気で選ぶ」という軸が見え、入社先の企業を選ぶことができました。今はまったく迷いや後悔はありません。そこでどうやって活躍していくのかを考えるのみです。

 

低学年のときに注力していたことは?

大学1年から3年まで、予備校でチューターのアルバイトをしていました。チューターの主な仕事は高校生の相談に乗ったり勉強のアドバイスをしたりすることですが、保護者の方と話す機会もよくありました。その予備校では多くの講座が開講されていましたので、自分の子どもにどの講座を受けさせるのが良いのかを相談されることが多かったです。

 

保護者の方を相手にアドバイスするときは、「お子さんは今こういう状況で、ここが苦手です」「この大学に入りたいならここは押さえておく必要があります」など、論理立てて話す必要がありましたので、その経験が就活に生きたと思います。それに年上の人と話すことに抵抗感がなくなりました。

 

就活スケジュール

大学院1年6月
インターンシップの合同企業説明会に参加
研究職は自分には向いていないと思い、民間企業の就活をすることを決意。友人に誘われ、外資系企業のみの合同企業説明会へ参加。「成長できる」「世の中に影響力のある仕事ができる」という軸から、コンサルティング会社と投資銀行を志望するように。
大学院1年8月、10月
インターンシップに参加
8月はコンサルティング会社1社と投資銀行4社、10月はコンサルティング会社1社のインターンシップに参加。どのプログラムも、グループワークをして最後にプレゼンをするという内容だった。
大学院1年11月
投資銀行の説明会に参加
大手の外資系投資銀行は、ほとんど参加した。
大学院1年12月
投資銀行の面接に参加
投資銀行は第1志望の企業の選考が進んだ12月時点でほかはすべて辞退。ほぼ同時期に10月にインターンシップに参加したコンサルティング会社から内々定が出た。
大学院1年1月
内々定承諾
1カ月間、投資銀行かコンサルティング会社かで悩む。表に比較要素を書き出し点数をつけたこともあるが、最後は社員の雰囲気が自分に合っているかどうかでコンサルティング会社を選択。

 

就活ファッション

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スーツと靴は、予備校でチューターのアルバイトをしていた時に使用していたものを使用。カバンも就活時にスーツ用のものを購入するのではなく、普段使っている肩からもかけられるタイプの黒いバッグをそのまま就活でも使った。ネクタイは3色用意し、その日訪問する企業のコーポレートカラーに近いものを着用していた。

 

取材・文/芳野真弥 撮影/鈴木慶子


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