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オイシックス株式会社

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今回の訪問先 【オイシックス(Oisix) 商品本部 品質管理部】
食品添加物や残留農薬問題に加え、近年増えている産地や原材料、消費・賞味期限の偽装、異物混入問題。食に関するこれらの問題は、健康被害に結び付く可能性があるだけに、私たちは「より安心・安全なモノを便利に食べたい」と思うもの。そんなニーズを背景に2000年に設立されたのが食材宅配ネットスーパー、Oisixです。Oisixの特徴は、安心・安全な食品を“利便性”を持って届けること。しかも誰もが注文しやすいように、入会金は不要、注文はインターネットで好きなモノを1個から購入できる仕組みとなっています。また宅配便を利用することで、宅配時間をユーザーが自由に選択可能に。このようにユーザーが便利に使えるような仕組みを構築し、品質にこだわったサービスを展開することで、多くのユーザーを獲得してきました。今では生鮮食品だけではなく、冷凍食品や総菜、調味料、乾物、お菓子、飲料、キッチン用洗剤、調理器具などまで取り扱い製品が広がっています。また最近ではネットスーパーだけではなく、実際に店舗を構えて野菜や総菜などを売る店舗事業にも注力。今回はOisixが取り扱う商品の安心・安全を担保する部署、商品本部 品質管理部のシゴトバを訪ねました。

 

商品の品質を管理し、安心・安全を担保する品質管理の仕事とは

Oisix 商品本部は商品開発と品質管理の機能を持つ部署で、現在26人の社員で構成されています。品質管理の機能を担う品質管理部のシゴトバは、本社(東京都品川区)と物流センター(Oisixステーション:神奈川県海老名市)の2カ所にあります。今回、紹介してもらったのは、Oisixステーション内のシゴトバ。最寄り駅であるJR相模線の社家(しゃけ)駅から15分ほど歩けばOisixステーションに着きます。社家駅周辺は田園地帯が広がるのどかな街です。
Oisixステーションでは、在庫を抱えることなく、お客さまから注文されてから商品を仕入れてピッキング(商品仕分け)し、お客さまへと発送されていきます。広大な敷地に建てられた倉庫の中は、生鮮食品や冷凍食品を安心・安全、かつおいしく届けられるよう、常温、冷蔵、冷凍という3つの温度帯に対応した部屋がそれぞれ用意されているそうです。

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Oisixステーション内での商品本部 品質管理部の仕事を紹介してくれたのは品質管理部部長の冨士聡子さんです。
「生産者から入ってきた商品が、当社が設けているOisix安全基準に合致しているか、販売サイトで案内していた通りのものか、適切な物流が行われているかなどの確認・検査を行うことが主な仕事です」(冨士さん)
Oisix安全基準とは、「作った人が自分の子どもに食べさせられるものだけを食卓へ」という当たり前を続けていくために、Oisixが独自に設けた安全基準です。
「当社の安全基準では、農作物であれば、農薬や化学肥料の使用量、加工品であれば使用できる添加物や原料など、商品ごとに安全基準が細かく定められているのです。それがちゃんと守られているか、商品が入ってくるたびにチェックするのです。例えば食肉などでは、菌検査も行っています。より安心・安全でおいしい商品を追求していくのが、私たち品質管理部の仕事です」(冨士さん)

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商品の豚肉の品質が安全基準を満たしているかをチェックするため、クリーンベンチ(無菌操作のための装置)内で菌検査のためのサンプル作りをしているところです。
「菌検査は商品の中からランダムで抜き取って行います。例えば同じ生産者の豚肉でも、夏と冬では豚が飲む水や食べるえさの量が変わるため、品質に影響したりするんです。菌検査を行うことで、そういう変化もわかります。お客さまにより安心・安全でおいしいモノを届けることを追求していくのが私たちのミッション。商品点数が多いので、検査は大変ですが、より豊かな食生活をお客さまに提供するためには怠ることはできません」(冨士さん)
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写真は培養した検体の菌数をカウントしているところです。
「賞味期限の設定の際も、菌検査を行います。菌を数えるのはもちろんですが、実際に見た目やにおいをかぐなどの官能検査も行った上で、賞味期限を決めていきます」(冨士さん)

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自社で製造している商品の品質チェックも行います。
「製造部門から上がってきた資料を基に、消費期限が正しくつけられているかなどを確認します。異常が見つかった場合のみ、製造部門に連絡し出荷を停止。私たちが品質担保の砦(とりで)なのです」(冨士さん)

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実際に物流倉庫に足を運び、入荷した商品の品質チェックを行ったりもします。写真はフリルレタスの品質を確認しているところ。野菜は冷蔵温度帯のエリアに運び込まれます。
「農作物は鮮度が命です。そこで当社では鮮度をなるべく劣化させずにお客さまに届けるため、外気に触れることなくトラックの荷台からこのエリアに降ろされるような仕組みを設けているんです。とはいえ、本当に冷蔵状態で物流できていたか、赤外線放射温度計(モノに接触させることなく表面温度が測れる温度計)で温度を確認したりするんです。また物流で傷んだところはないかなどについてもチェックします。というのも箱詰めの方法一つでも、品質が左右されるからです。実際に手に取り、傷んでいないかを確認します。もし傷んでいるモノがあれば、生産者に連絡し、『こういう詰め方にしてほしい』というように、詰め方の指導も行ったりします」(冨士さん)

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販売サイトで注文した商品は、Oisixステーションでこのような箱に詰められてお客さまのもとに届けられます。写真は利用を検討している人のためのお試しセットです。

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Oisixステーションでは、ベルトコンベアが張り巡らされています。またお客さまが注文した商品をより効率的に箱詰めできるよう、バーコードを利用したデジタルピッキングサービスというシステムを導入。箱にはお客さまの注文内容が記憶されたバーコードが貼られており、注文した商品が確実に箱詰めされるよう、ベルトコンベアの行き先を自動で制御するのです。商品の箱詰め作業はもちろん、人が行っています。
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Oisixでは最近、店舗事業にも力を入れています。
「店舗で扱っている商品の品質を管理するのも私たちの仕事。東京・吉祥寺の店舗では、青果や加工品に加えて、総菜も販売しているんです。宅配と異なり、店舗で総菜を売るには、品質やおいしさに加え、見た目も重要になります。いかに余計な添加物を使うことなく見た目がきれいで、おいしく安心・安全なものにするか、店舗のスタッフ、および本社にいる商品開発部のメンバーと相談し、温度管理の方法、何時間経過したら廃棄するという運用ルールを設けたりします。このように新しい事業や商品が展開されるたびに、品質管理を担保するための運用ルールを定めていくことも行います。商品点数、事業領域が広がっているので、私たちの仕事の幅もどんどん広がっています」(冨士さん)

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ハタラクヒト 常にお客さまの声を感じながら仕事ができるのが面白い

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引き続き冨士さんにOisixの「商品本部 品質管理部」というシゴトバの魅力、やりがい、職場の雰囲気などについてお話をうかがいました。

冨士さんがOisixに入社したのは2005年。
「栄養学部を卒業し、新卒で入社したのは、害虫駆除をはじめとする工場の衛生管理のコンサルティング会社です。食品工場や薬品工場を回って、衛生状況を検査する仕事に従事していました。食品工場で食品が作られていく様子を見るうちに、自分が健康のために食べていた食品とそれが作られている過程の間に隔たりを感じたんです。例えば健康のためにカットサラダを買っているのに、それが作られる工程では食中毒予防のための処理が行われる。当たり前のことですが、これをきっかけに、食品で人がハッピーになるとはどういうことなんだろうと考えるようになりました。そんな時に、たまたまテレビで当社のビジネスが取り上げられていたんです。野菜の品質にこだわっている姿を見て、ここで働いてみたいと思い、転職を決めました」

 

創業から5年たっているとはいえ、まだまだ会社の規模は小さかったと冨士さん。品質管理部の仕事も、扱う商品が正しいかどうかを判断することが主だったのだそう。その後、商品開発部に異動し、3年間商品開発に携わった後、2010年より現職に。
「入社したころと比べると、扱っている商品の数だけではなく、店舗事業のほか、オフィスにサラダを届ける『Salad Oisix forオフィス』という事業を始めるなど、事業の数も増えています。そのため品質管理部の仕事の幅も広がっており、苦労することもたくさんあります。しかしそれ以上に面白さがある。それは当社が一般消費者を相手としたB to Cのビジネスを展開しているため、お客さまの品質に関する意見が聞こえてくることです。もちろん、いいことだけではなく中には厳しい意見を頂くこともありますが、それを解決できれば『おいしかったよ』『良くなったよ』という反応が届きます。常にお客さまの声を感じながら仕事ができるのが、この仕事の面白さだと思います」

 

最も苦労したのが、店舗で販売する総菜の品質管理だったと冨士さんは言います。
「吉祥寺店で売っている総菜の中に、キャロットラペというニンジンの千切りサラダがあります。普通に調理しただけでは、時間がたつとどうしても水分が出て見栄えが悪くなってくるんです。大量の油や添加物に近いモノを加えることなく、どうすれば見栄えも良くできるか。店舗のスタッフと相談して、切り方や盛りつけなどを工夫しました。またニンジンから出てきた水分も、『ニンジンのジュースなのでおいしいですよ』というようにお客さまに説明するということを推奨したり…。店舗での商品管理には品質に見栄えや日持ちという要素も加わってくるので、本当に難しいですね」

 

食品の品質を管理する仕事だけに、学生時代の専門が問われる仕事というイメージがありますが、そんなことはないと冨士さん。
「私のような栄養学部のほか、農学部などの出身者が多いかもしれませんが、文系出身者でも活躍している人はいます。仕事に必要な知識は、入社してから十分、習得できるからです。それよりも重要なのは、何が正しいのかをお客さまの視点に立って考えることができるか。例えばお客さまから卵が破損していたという意見をもらったとします。そのときに、卵は割れるモノだからと考えたら、仕事はそこで終わってしまいます。そうではなく、たとえどんなつめ方や輸送条件であったとしても、確実に卵が割れないようにするにはどこを改良・改善すればよいのか、と課題解決にチャレンジしようという考えに至れるか。そういう考えを持つことができる人なら活躍できると思います。Oisixは常にチャレンジをさせてくれる会社です。リスクがあるからやめるのではなく、そのリスクを解決する方法について、可能性がある限りチャレンジしていこうという雰囲気が社内にはあるんです。人当たりも良く、居心地の良いシゴトバです」

 

 

自社をよく知るためのさまざまなイベント

Oisixでは全社員を対象に、毎年1回、産地に赴き、収穫を手伝う「ブランド体感会」を実施しているそうです。写真はブランド体感会での一コマ。
「目的は生産者の思いや自社で扱っている商品を知るためです。必ず1年に1回は、この体感会に参加することになっています。バスを貸し切るほどの人数が参加するので、いろんな部署の人たちと交流する機会にも。それもこのイベントの楽しみなんです」(冨士さん)

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月1回、金曜日の夜にオフィスで開催される社内のBARでの一コマ。社内BARとは、本社社内にあるキッチンスペースを活用し、自社の食材を使ったおつまみやお酒を楽しむことができるというもの。参加は自由で、準備は有志のプロジェクトメンバーが行っているのだそう。社長から新入社員までが参加しているため、立場や年齢を超えたフラットなコミュニケーションの場となっているそうです。

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Oisixにまつわる3つの数字

創業以来、安心・安全でおいしさにこだわった食品を、利便性を持って届けることで多くのお客さまをつかんできたOisix。以下の数字は何を表しているのでしょうか? 正解は次回の記事で

1. 19.4
2. 10度
3. 4600

 

前回(Vol.112 フジミインコーポレーテッド)の解答はこちら

 

取材・文/中村仁美 撮影/臼田尚史


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